法定相続情報一覧図のメリットとデメリットを徹底解説

相続手続きで困っている方必見!法定相続情報一覧図の実際の活用例

大切な方を亡くされた後、深い悲しみの中で直面するのが、山積みの相続手続きです。銀行口座の解約、不動産の名義変更、株式の移管など、一つ一つの手続きに必要となるのが、故人と相続人全員の関係を示す「戸籍謄本」の束。役所を巡り、何通もの戸籍謄本を集め、それをまた金融機関や法務局に提出するたびに、同じ書類を何枚もコピーして添付し、何度も同じ説明を繰り返す……。この手続きの煩雑さに、心身ともに疲弊している方も少なくないのではないでしょうか。

平均的に相続手続きで関わる金融機関は3~5箇所に及ぶと言われています。その度に戸籍謄本や除籍謄本、改製原戸籍謄本など、場合によっては数十枚にもなる書類の束を準備し、提出する手間を想像してみてください。

「法定相続情報一覧図」は、このような相続手続きの負担を大幅に軽減するために法務局が発行している公的な証明書です。これは、故人の出生から死亡までの戸籍情報に基づき、誰が法定相続人であるかを一目でわかるように家系図のように図式化したもの。一度取得すれば、これ一枚で、それまで必要だった大量の戸籍謄本の提出を省略できるようになります。例えば、複数の銀行口座の解約や、不動産の相続登記、証券会社での名義変更など、様々な場面で活用が可能です。ある手続きで受理されれば、その後の他の手続きでも同様に利用できるため、何度も同じ書類を準備する時間と労力、そして精神的なストレスから解放されるでしょう。

法定相続情報一覧図を利用しないリスクとは?

法定相続情報一覧図の利用は任意です。しかし、これを活用しない場合、一体どのようなリスクやデメリットがあるのでしょうか。最も大きなリスクは、やはり相続手続きの「煩雑さ」とそれに伴う「時間の浪費」、そして「精神的な負担」です。

法定相続情報一覧図を利用しない場合、故人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍謄本、そして相続人全員の戸籍謄本などを、金融機関や法務局といった手続き先ごとに提出する必要があります。これらはそれぞれ、本籍地の役所から取り寄せなければならず、遠隔地の役所から郵送で取り寄せる場合は、申請書作成から返送まで数日~1週間程度かかることも珍しくありません。戸籍謄本は1通450円程度かかりますが、これを複数の役所から何通も取り寄せるとなると、数千円の費用と、それ以上に貴重な時間が消費されます。

加えて、複数の手続き先がある場合、一つの手続きが終わるたびに提出した戸籍謄本を返却してもらい、また次の手続き先に提出するという手間が発生します。この繰り返しの中で、書類の紛失や破損のリスクも高まりますし、提出先によっては「この書類では不足している」と指摘され、再び役所への取り寄せからやり直しになることも。法定相続情報一覧図を使わないことは、手続きのたびに同じ説明を繰り返す疲労が、まるで迷路をさまようようなものです。こうした状況は、ただでさえ心労の多い相続人にとって、さらなる重荷となりかねません。

法定相続情報一覧図のメリットを知ろう

それでは、法定相続情報一覧図を利用することで得られる具体的なメリットについて詳しく見ていきましょう。この制度は、相続人の負担を軽減し、相続手続きをよりスムーズに進めるために設けられました。

メリット

  • 手続きの効率化と時間短縮: 各金融機関や法務局などで、戸籍謄本の束を何度も提出する必要がなくなります。これにより、平均で数週間から1ヶ月以上かかることもあった書類確認のプロセスが、大幅に短縮される可能性があります。
  • 費用の削減: 複数の機関に提出するために、何通も戸籍謄本のコピーを取得したり、郵送で取り寄せる費用(1通あたり450円程度)も削減できます。一度取得すれば、手数料無料で何枚でも再交付を受けることが可能です。
  • 心理的負担の軽減: 何度も同じ書類を集めたり、説明したりする手間がなくなることで、相続人が抱える精神的なストレスが大きく軽減されます。故人を悼む時間や、残された家族との関係に集中できるでしょう。
  • 正確性の確保: 法務局の専門家が戸籍情報を精査して作成するため、相続人関係に誤りがないという公的なお墨付きが得られます。これにより、金融機関などでの確認作業もスムーズに進みます。

デメリット

一方で、法定相続情報一覧図にはいくつかのデメリットや注意点も存在します。

  • 取得に時間がかかる場合がある: 必要書類の収集や法務局での審査があるため、申出から交付まで通常1~2週間程度かかります。お盆や年末年始など、混雑時期にはそれ以上かかることもありますので、時間に余裕をもって準備することが大切です。
  • 利用範囲に限界がある: 一部の特殊な相続手続き(例:海外の資産に関する手続き、特定の税務申告など)では、法定相続情報一覧図が利用できない場合があります。その際は、別途戸籍謄本などの提出が求められることがあります。
  • 相続人構成に変更があった場合は再申出が必要: 一度作成した法定相続情報一覧図は、相続人の構成が変わらない限り有効です。しかし、新たな相続人が判明した場合や、遺産分割協議の結果で相続人の一部が相続放棄をした場合など、状況に変更があった際には、再度申出をして作成し直す必要があります。

これらのメリットとデメリットを比較検討し、ご自身の状況に合った選択をすることが重要です。

今すぐできる法定相続情報一覧図の取得方法

法定相続情報一覧図のメリットをご理解いただけたところで、具体的な取得方法について解説します。自分で手続きを進めることも十分可能ですが、複雑に感じる場合は専門家への依頼も検討できます。

1. 必要書類の準備

まず、以下の書類を収集します。

  • 故人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍謄本
  • 故人の住民票の除票(または戸籍の附票)
  • 相続人全員の現在の戸籍謄本
  • 相続人全員の住民票(または戸籍の附票)
  • 申出人の身分証明書(運転免許証やマイナンバーカードなど)
  • 申出人の氏名、住所が記載された書類(申出書)

これらの書類は、故人や相続人の本籍地・住所地の役所から取り寄せます。戸籍謄本1通あたり450円、住民票1通あたり300円程度の手数料がかかります。

2. 申出書の作成

法務局のウェブサイトから「法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出書」をダウンロードし、必要事項を記入します。この申出書には、故人や相続人の情報、作成したい一覧図の内容などを記載します。

3. 法務局への申出

準備した書類と申出書を、故人の本籍地、最後の住所地、または申出人の住所地を管轄する法務局に提出します。郵送でも申出が可能です。

4. 交付

法務局での審査が完了すると、法定相続情報一覧図が交付されます。通常、申出から交付まで1~2週間程度が目安です。交付される一覧図は、申出人の希望に応じて必要な枚数を無料で取得できます。

自分で取得するか、専門家に依頼するか

ご自身で取得される場合のメリットは、費用を抑えられる点にあります。しかし、必要書類の収集や申出書の作成には、平均して数日~数週間の時間と、専門知識が求められます。特に、故人の戸籍が複雑で、複数の役所から多くの戸籍謄本を集める必要がある場合は、かなりの手間と時間がかかります。

一方、司法書士や行政書士といった専門家に依頼すれば、これらの手間を大幅に省くことができ、精神的な負担という重い錘が心から取り除かれるでしょう。専門家への依頼費用は、相続人の数や戸籍の複雑さによって変動しますが、数万円からが相場です。時間と労力を考慮すれば、決して高くはない投資と言えるかもしれません。ご自身の状況や時間的な余裕を考慮し、最適な方法を選択してください。

著者情報

花形 豊
花形 豊
ローブル行政書士事務所の代表行政書士、花形 豊です。 当事務所は「むずかしい手続きを、やさしい言葉で。」をモットーに、大田区・大森を中心に相続・遺言手続きのサポートを行っています。
行政書士(登録番号:25086165)